マネジメント

ドラッカーの理論から「マネジメント」を紐解く。基礎知識や必要なスキルを解説

キャリアを重ねていくと一度は耳にする「マネジメント」というワードですが、必要なスキルであることは把握している一方で、正確には理解していないという方も少なくないのではないでしょうか。

そこで本記事では、マネジメントの生みの親であるピーター・ドラッカー氏が提唱した理論の定義や役割、マネージャーに必要な5つの基本能力を解説していきます。

そもそもマネジメントとは?

本題に入る前に、マネジメントの概要について簡単に振り返りましょう。

そもそもマネジメント(management)とは、直訳すると「経営」、「管理」などの意味を持ちますが、企業においては「組織を統制する一連の活動」のことを指し、通常より広い意味で捉えられています。

マネジメントの定義はさまざまありますが、この概念はオーストリア人経営学者ピーター・ドラッカー氏(1909〜2005年)が1973年に刊行した著書『マネジメント』から生まれたといわれています。

ドラッカーのマネジメント理論

「マネジメントの父」と呼ばれ、今なおビジネスシーンに多大な影響を与えているピーター・ドラッカーとは、一体どのような人物なのでしょうか?

オーストリアのウィーンで生まれたピーター・ドラッカー氏は、起業コンサルタントや経済学者として活躍後、前途で挙げた「マネジメント」をはじめ、経営や経済に関する著作を数多く発表してきました。

日本人に多く知られるようになったのは2009年、小説家の岩崎夏海さんの著書「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(通称:もしドラ)」が、300万部のミリオンセラーを記録する社会現象となり、空前のドラッカーブームとなったのです。

ドラッカーが説く「マネジメント」の定義

世界中の経営者に影響を与えてきたドラッカーですが、生みの親である彼は「マネジメント」をどう定義したのでしょうか?
ドラッカーは著書の中で、「マネジメント」、「マネージャー」を以下のように定義しています。

  • マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
  • マネージャー:組織の成果に責任を持つ者

簡単に解説すると、マネジメントは組織の成果を上げさせるための仕組みやツールであり、組織が成果を上げるように働きかける責任者をマネージャーと定義しています。

ドラッカーが考えるマネジメントの役割

ドラッカーは、「マネジメント」の役割について以下のような考え方を提示しています。

01. 目標の設定

まずは事業が何であるかを定義し、世間に求められている役割を明確にすること。そして、組織が顧客のニーズに応えていくための目標を設定することが大切です。

02. 組織の人材を活かす

次に、設定した目標に沿った組織を構築していく必要があります。そのために、組織はそこで働く人たちに自己実現できる場を与えて活かし、働く人たちが自己実現できるような組織づくりをすることが大切です。

03. 社会貢献

最後に、社会貢献です。ドラッカーは、企業は経営者や株主のものではなく、社会のためにあるものとし、最終的には社会へ貢献していなければならないとしています。
一般的な社会貢献の活動とは異なり、社会から求められている=社会貢献ができているというのが、ドラッカーの考え方です。

ここまで文字にするのは容易ですが、理想通りにマネジメントを行うことは非常に難しく、最終的に社会貢献まで辿り着けるのは一筋縄ではいきません。
組織内の信頼関係構築はもちろん、短期・長期双方の視点に立ってマネジメントしていくことが重要です。

ドラッカーに学ぶマネジメントに必要な5つの能力

ドラッカーはマネジメントを、オーケストラに例えており、マネージャーはオーケストラを導く指揮者として、非常に重要な役割を担うとしています。
では、マネージャーに求められているものはなんなのか、著書「マネジメント」の中でドラッカーが挙げている5つの能力を順番にみていきましょう。

01. 目標設定

マネジメントを行う際、マネージャーはあらゆる目標やゴールを設定し、それを従業員に周知・理解させていかなければなりません。
目標設定についてドラッカーは、「マネジメント 基本と原則」P-139で下記のように述べています。

目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければならない。それらの目標は、常に組織全体の目標から引き出したものでなければならない。組み立てラインの職長さえ、企業全体の目標と製造部門の目標に基づいた目標を必要とする。(『マネジメント』/ピーター・ドラッカー)

つまり、目標というのは、多様な視点で適切に設定する能力が求められているということになります。
ドラッカーは、目標設定の観点について以下のようにあげています。

  • 短期的目標:1週間〜1ヶ月ほどの短期スパンで達成できる目標のこと
  • 長期的目標:2〜3年ほどの長期スパンで達成できる目標のこと
  • 無形の目標:能力や習慣といった無形の目標のこと
  • 部下の仕事ぶりと態度における目標:部下が目標に対してどのように考え、達成に意欲的かどうかを把握しておくこと
  • 社会に対する責任についての目標:社会的存在としての責任

02. 組織作り

マネジメントには、適切と人材配置で組織を構築→機能させる能力が求められます。
組織作りについてドラッカーは、「マネジメント 基本と原則」P-128で下記のように述べています・

マネージャーは、自らの資源、特に人的資源のあらゆる強みを発揮させるとともに、あらゆる弱みを消さなければならない、これこそ真の全体を創造する唯一の方法である。(『マネジメント 基本と原則』/ピーター・ドラッカー)

個人の能力や成長には限界があるため、個の強みを最大限に活用し、弱みを最小限に抑えていくのもマネージャーの役割となります。

03. コミュニケーション

マネージャーに限定されることではありませんが、組織の成果を上げるための高いコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力についてドラッカーは、「マネジメント 基本と原則」P-159で下記のように定義しています。

コミュニケーションとは、「知覚」であり、「期待」であり、「欲求」であり、情報法ではない。(『マネジメント』/ピーター・ドラッカー)

つまり、ただの情報伝達にするのではなく、きちんと知覚させることが重要であり、相手の期待や欲求を理解しながらコミュニケーションを行うことがマネジメントには求められています。
一度言葉にしただけでは不十分と考え、メンバーに納得してもらえるまで徹底して向き合っていきましょう。

04. 評価測定能力

組織の基礎単位である個人を評価し、測定するのもマネージャーに必要不可欠な能力のひとつが、評価測定能力です。
評価測定能力についてドラッカーは、「マネジメント 基本と原則」P-171で下記のように述べています。

人には、それぞれの理想、目的、欲求、ニーズがある。いかなる組織であっても、メンバーの欲求やニーズを満たさなければならない。この個人の欲求を満たすものこそ賞や罰であり、各種の奨励策、抑止策である。(『マネジメント 基本と原則』/ピーター・ドラッカー)

組織で働くメンバーのニーズや欲求をきちんと評価して、成果を上げられるよう具体策を管理していくことがマネージャーに求められています。
評価やフィードバックが的確であればあるほど、メンバーのモチベーションは上がり、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

05. 問題解決能力

プロジェクトを進める上で、必ずといってよいほど発生する問題に対して、適切に対処する力もマネージャーに求められます。
問題解決能力についてドラッカーは、「マネジメント 基本と原則」P-128で下記のように述べています。

あらゆる決定と行動において、ただちに必要されているものと遠い未来に必要とされているものを調和させていくことである(『マネジメント 基本と原則』/ピーター・ドラッカー)

組織で起こる問題すべてが、ネガティブなものではなく、成果を出して成長するためのものでもあるとされています。

まとめ

今回は、マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカー氏の理論について解説してきました。
彼は2005年に他界しましたが、現代のビジネスにおいても非常に実践的で有効な知見も多く、今でも参考にしている経営者も多いのではないでしょうか。

私たちも、ドラッカーの理論をもとに、マネジメントの究極の目的を定めています。本来のマネジメントとは、「理念(ミッション・ビジョン)の実現」であり、「顧客の創造」であると考えています。
なぜなら、理念(ミッション・ビジョン)の実現や、顧客の創造こそが、企業の目的でもあるからです。

一般的に、オペレーションがスムーズに回ることや、現場の教育を解決すること=マネジメントとイメージされると思います。しかし、それらはあくまで手段であり、その先を見据えて実行することが、本来行うべきマネジメントなのです。

ドラッカーの理論はすでに原則化しており、決して時代のニーズに合ったものではありません。
しかし、目標や役割などマネジメントの基盤となる考え方も多いため、彼の主張の本質を理解した上で、時代のトレンド要素を加えていくことが大切です。

マネジメントDX 編集部

マネジメントDX 編集部

マネジメントDXでは、マネジメントやマニュアル作成、社員教育、組織活性に関するお役立ち情報を発信しています。私たちはマネジメントや教育、オペレーション、組織運営を改善し、成果につなげるための支援を提供しています。お悩みごとがありましたらお気軽にお問い合わせください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP