理念浸透・ビジョナリー教育

リモート環境を活かした社員教育を実施し、教育のDX化を実現(G社)

プロジェクト

業界人事コンサルティング
規模従業員数4名
課題 自己の内面に向き合うトレーニングを行ってきたが、感染症拡大のために従来の集合型研修ができなくなった
目的リモート環境での教育方法を確立し、かつ従来よりも効果を高める
支援内容オンラインテスト、ディスカッション課題を毎週配信する
30分間のディスカッションを毎週行い、その様子を録画する
録画した映像を基に講師がフィードバックを行う
効果全社員の言動に意欲的・積極的な変化が見られた

悩み・課題

人事コンサルティング会社であるG社では、内観トレーニング(自己の内面に向き合うトレーニング)を通して社員の“仕事観”を育成するために、教育の効果をより高められる手法を模索していました。

G社の主な事業は、各企業の社員研修に講師として赴き、“企業理念の浸透”、“人格形成”を目的としたプログラムを行うことです。こうした教育はG社の社内においても実施されており、全社員(4名)を対象にした勉強会・ディスカッションの場を定期的に設けています。

以前は、月に1度社員を会社に集めての勉強会や、Excelで作成した問題集に回答してもらう形式での教育が主でした。問題集による教育も、その回答に基づいての意見交換がセットとなっており、対面での話し合いが同社の教育の根幹となっていました。
しかし2020年初旬から拡大した感染症の影響で、対面での教育は行えなくなり、リモート環境での内観トレーニングへの変更が急遽必要となりました。これをきっかけに、リモート環境であることを活かして、さらに教育の質を高める手法を開発していくことになりました。

支援内容

各支援先の研修講師を長く務めているG社の代表は、学習内容を深く理解させ、普段の行動に反映させるためのポイントを心得ており、その中でもとくに重要視しているのが「ブリッジング」です。ブリッジングとは、新しく学習した内容と、「過去に学習した内容」、「仕事など実際の場面での経験」との関連性を発見することで、学習をより強固に定着させることを指します。

教育内容は、講師が厳選したビジネス書籍を題材とし、上記ポイントをリモートの研修でも発揮できるように仕組みやルールを定めました。具体的には、例えば以下の取り組みを行いました。

01. テスト回答とディスカッションを毎週実施

題材となる書籍に基づいてテスト問題とディスカッション課題を作成し、受講者である社員に毎週配信します。
ディスカッションは週1回、ビデオ会議ツールのZoomを通じて30分間行われます。Googleスプレッドシートに各メンバーが課題の回答を記入しておき、それを参照しながらお互いに議論する形式で進行します。また自主性を促すため、ディスカッションに講師は同席せず、司会進行役は受講者が兼任します。

一般的に書籍を題材とした研修をする場合、感想文を提出して完了とするパターンが多く、その場合はブリッジングの機会も「感想文の記述」の1回きりです。しかしディスカッションを行った場合、「テスト問題への回答」、「ディスカッションに向けた意見の整理と発信」、「司会進行の事前準備」といった複数のブリッジングの機会が含まれます。さらに、このサイクルを週1回という早いペースで繰り返すことで、学習の頻度も増やす効果があります。

上記以外にも、1分以内で発言を収められるように時間を計ったり、司会進行役を毎回代わる代わる順番に担当するなど、「イメージの言語化」や「議論の仕切り方」を同時に身に付けられるように工夫し、会議の質を高めるための能力も育成します。

02. ディスカッションの録画

ディスカッションはビデオ会議ツールの録画機能を使って、動画に保存します。
録画した映像は、受講者が自身の発言を改めて確認したり、あるいは今までのディスカッションにおける言動や姿勢の変化を振り返ったりする際に用いられます。
また、後述する講師からのフィードバックを行うときにも、録画映像は参考資料として必須となります。こうして短い動画を継続的に蓄積していくことで、講師はディスカッションに同席せずとも、業務の合間を縫って受講者の学習状況をチェックすることが可能です。

03. 講師からのフィードバック

ディスカッションのあと講師は録画映像を確認し、全体を総括したフィードバックを前述のスプレッドシートに記入します。その内容は例えば、ディスカッション課題に対する講師の回答や、関連する情報提供、また良かった言動を採り上げたり問題のあった点を指摘したりなど、多岐にわたります。
フィードバックを見た受講者は、次回のディスカッションの冒頭で振り返りをした後、本題に入ります。

結果・効果

こうした取り組みを1年以上続けた結果、社員の言動に以下のような変化が見られるようになりました。

  • 書籍から得た共通の知識を引用することで、コミュニケーションの齟齬が減った
  • ディスカッションだけでなく、会議でも積極的に発言するようになった
  • 社内で抱えている課題について、改善策を提案する頻度が増えた

社員からは、「意見を整理して述べることに慣れてきて、自信を持って発言できるようになった」、「自分の行動がどんな価値を持っているのかを、書籍の内容や他の社員から教えられ、意欲が湧いてきた」という声も挙がり、仕事観の育成という元来の目的は充分に達成したと言えるでしょう。

G社のように、感染症の拡大をきっかけに従来の集合型研修を行うことが難しくなり、教育手段の変更を余儀なくされた事例は、どの企業からも聞かれます。
多くの場合、大人数での密集を避けるためにオンラインツールへの切り替えを実施することで解決を図りますが、それはあくまで「講師と受講者のコミュニケーション手段」を変更したに過ぎません。
教育の効果という観点も踏まえた上で、「研修の頻度、時間」、さらには「課題や教材の内容」まで吟味し、従来の手段と比較し、目的に応じて必要なツール・仕組みを採り入れることが、教育のDXを成功させるポイントになります。

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